2012年10月14日日曜日

和と洋

なんていうと、食事のようですが
アンコンの話です。
今日の練習は、アンコンのみ午前中でした。
家の方に言うのを忘れて弁当があったという人も
何人かいたようですが…

今年のアンコン曲は
金管+打楽器が「和」…櫛田胅之扶さんの「元禄」
木管が、交響詩「はげ山の一夜」です。
どちらも、大変良い曲ですが
それぞれキャラクターは、まったく違います。

「元禄」は、日本人の感性に合ったメロディが
特徴です。どこか懐かしくも斬新な響きがあります。

下に↓ 櫛田先生のブログから演奏法を転載します。参考にしてください。

交響詩「はげ山の一夜」は、天才ムソルグスキーの作品です。
素晴らしいの一言に尽きますが、天才の狂気を感じられます。
詳しくは、次回。


保存版『元禄』演奏法(その1)

 いよいよコンクールの自由曲選びの季節が来たようですね。この時期、私の作品へのご質問が、仰山きます。作曲者のイメージとか、演奏のポイントなどです。演奏することは、自分達の表現を創造することですから、自分達の演奏を創り上げればよいのですが、やはり、何かヒントと云うか、創造のキッカケが必要かも知れません。そこで、思い切って書くことにしました。一番演奏回数の多い『元禄』について書きます。一つの参考にして下さい。

【冒頭~】
 まずは冒頭の1小節目。この幕開けで聴衆の心をグッとつかまなければなりません。最低音の C音は、力強くしっかり音を保ちます。フェルマータのかかった他の音は、鋭い音色でクレシェンドします。充分にフェルマータがかかった段階で、Timpani と Bass Drum を打ち込みます。ただ単に、強く打ち込むのでなく、重々しく響かせて下さい。この打ち込みと同時に、全ての音を消します。そして、無の空間を作ります。この空間の中から、雲が湧き上がるような、次のフレーズに移ります。次々にはいるパートは、先行して入るパートの音をよく聞き、フレーズをしっかり繋げて、最高音までアッチェレランドしながら、音を広げて行きます。先行するパートは、次のパートが入ったあと、クレシェンドに入るというタイミングです。 4小節目の rit. は充分に効かせて、一度音を切って(空間を作って)fp のF音に入ります。

【Alto Saxophone Solo~】
 さて、いよいよ次のポイント、Alto Sax. の Solo に入ります。まず、Clarinets、Horns のバッキングが先行します。その入りを聞いてから Solo を始めます。Solo のフレーズは、拍を感じさせず、長いフレーズとして、自由に自身の台詞として、語りかけます。装飾音のかかった 5音は揺れを感じさせます。また、細かくスラーのかかったフレーズの最後の音は丁寧に残します。Solo のウラには、Marimba + Vibraphone のフレーズを入れたり(※)、Wind Chime を効果的にかぶせます。続く Tutti は冒頭の幕開けと同じですが、冒頭ほど鋭さは押さえて、むしろ響きとして広がるように持ってきます。
 続く Cadenza は、箏かハープが一番良く、次に Piano、次に Harp と Marimba のユニゾン、次に Marimba だけ、といった演奏効果になります。この Cadenza は、初版の東芝版には入っていません(※)

【〔A〕~】
 カメラ位置が空から江戸の町へ、すうっと降りて来ます。1小節づつのレガートを、優雅に落ち着きを持って表現します。Trumpet は Solo でなく、何本かで柔らかい音色になるようコントロールします、バッキングは、1小節ごとに思いを込めて、その思いは Clarinet、Saxophone、Euphonium がまとまっていることが重要です。〔B〕の直前の Vibraphone は、早くならないように、箏のように上品にアルページョします。

【〔B〕~】
 Vibraphone の音が消えて、一瞬「間」をおいて、〔B〕へ入ります。ここは、元禄時代の江戸の町。賑あう人の波。武士・町人とも泰平の世に華やかな文化を飾り、時代を謳歌します。振り袖をかざし、きらびやかなファッションで、行き交う人の波を描きます。
〔B〕から〔J〕まで(ここが第1部です)、ラテン・リズムに乗って(Conga を使用して、Bass ラインは鮮明に)、和旋律が繰り広げられます。和旋律は、伝統の5音音階プラス1音の6音音階で出来ています。D-Es-G-A-B-Cです。4小節間、リズムを歯切れよく、Trumpet のテーマが入ると同時に mp にします。
 入れ替わって Trumpet が柔らかくクレシェンドしながら入って来ます。泰平の世ですから、きらびやかさはありますが、戦闘的にならないようにしましょう。バッキングは、単調にならないように、フレーズの切れ目にクレシェンドをいれます。

【〔C〕~】
〔C〕は、4小節づつ、娘さん~おじさん、そして〔D〕は 派手に着飾ったお侍(裕福な旗本達かな)といったイメージです。フレーズの継ぎ目に入るHarpは、Vibaphone で入れるとかなり効果的です(※)

【〔E〕~】
〔E〕からは、第1部の後半、大勢の人が行き交う様子です。木管セクションの燥ぐ女の子たち・低音の大人たちとの対比を創り出すようにします。低音の2小節ごとのパターンは、最後のスラーのかかった8分音符に軽くクレシェンドを与えます。

【〔F〕~】
 Horns の大道芸人が主人公です。Harp のバッキング(※)が効果的です。〔G〕〔H〕とどんどん賑やかさが増して行きます。

【〔I〕~】
〔I〕の冒頭の Timpani と Tam-tam の一打ちで、陽が沈み始め、ようよう江戸の町は夕暮れが訪れます。

 それでは、この辺りで。次回は、〔J〕以降(第2部)の演奏法を


 

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