ジョイントの原稿を頼まれたので書いてみました。
練習のポイントにもなると思います。
→ 全員合奏です。すごい人数です。
課題曲Ⅱ 「よろこびへ歩きだせ」について
この曲について作曲者の土井康司さんは、「東日本大震災の経験から、この曲を書いた。」と書いています。とくにトリオの部分は「傷ついた方が癒される祈りのコラール」としたとのことです。昨年の大震災は我々の脳裏に焼き付いて離れませんが、とりわけ被災された東北の方々の苦しさを思うと祈らずにはいられません。そんな気持ちでこの曲のトリオのメロディを演奏すると、息の長いフレーズが、静かな中にも脈々とした深い祈りを感じさせるのです。心から復興を願わずにはいられません。
話がそれてしまったので具体的に曲について今練習、演奏しながら考えていることをいくつか述べたいと思います。まずは課題曲ですから文字通り「この曲の課題は何か?」と考えます。
私は、この曲の課題は
① ゆっくりしたテンポ設定
② 金管に何度も出てくる付点のリズム
③ トリオの長いフレーズの処理
④ 打楽器の扱い
であると考えています。
①については、作曲者が「あまりこだわらなくてよい」と書いていますが、私は中学校の指導をしていてこの曲をゆっくりやるのは中学生にとってとても難しいと思っています。しかし、速くするとリズムが難しくなり辛くなります。また曲の表現として「よろこびへ」だんだん「歩きだす」ためには、最初から速いテンポ設定は、せっかくの曲の雰囲気を損なってしまうように思います。
②については、課題曲お決まりといった感があります。どうしても付点がスイングジャズのよう、というか日本の民謡のように甘い三連符になってしまいがちです。この辺りは、演奏者が十分理解しているかどうかを問われているようです。さて、今日の演奏はいかがだったでしょうか?
③については、このトリオが「祈りのコラール」であることを念頭にすると当然の成り行きだと思われます。祈りを捧げる人は、自らの気持ちを鎮め、未来がより、開けてくるように、ゆっくり祈ると思います。また歌詞をつけて歌ってみると効果的かもしれません。
④については、SDのロールとシンバルの組み合わせで盛り上がる所が、いくつかあります。出すぎずタイミング良く盛り上げると効果的だと思いますが、なかなか研究が必要だと思いました。また、BDの扱いも普段良くやっている「行進曲」のビートではないところがあり工夫と研究が必要だと思いました。この辺りは、今後の課題だと思っています。
こうしてみてくると、この曲はいわゆるパレード用の行進曲ではないことがわかります。曲の出だしも2拍目裏から出るというのは、難しいです。
ここまで、難点ばかりを書いたように思われると思いますが、基本的には、親しみやすいメロディとわかりやすい曲想で、思わずウキウキしてくるような曲です。だからこそ、選曲のときには、ほぼ全員が一押しでした。作曲者のこの曲への思いを考えると今年この曲を取り上げ、研究し、演奏することは、とても意義深いと思うのです。
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